第325回 女優の幸せ 論〜勝ち組or負け組の偏見をぶった斬る怪女優・中島唱子
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中島唱子は「勝ち組」の人である。
山田太一作「春の一族」(93)の舞台となる共同アパートの住人のひとりに中島唱子がいる。ご存知、「ふぞろいの林檎たち」シリーズで柳沢慎吾のパートナーとして強烈なインパクトを残した怪女優、あの中島唱子である。
四国出身。幼馴染の国生さゆりとふたりでルームシェアしているという設定。
「ふぞろいの林檎たちIII」(91)では二子の母親で西寺ラーメンを切り盛りする肝っ玉かあちゃん。役柄はもちろん異なる。
しかし、ファッションやヘアースタイル、メイクまで「ふぞろいIII」と「春の一族」と、すっかり同じなのである。
- 作者: 山田太一
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というわけで、2作が中島唱子の点で連続性があると仮定して、その特徴を並べると、
・結婚した。
・子供あり
・店(西寺ラーメン)持ち
・理想の男性、仲手川良雄(中井貴一)と一晩のアバンチュールあり
・美人の国生さゆりにくっついて軟派サークルのスキー旅行に行く。
(メモ:チャラさを象徴する音楽としてTMの「カモンレッツダンス」がカーステから流れる)
・新興宗教にハマり、迷走期。
(メモ:中島唱子(しょうこ)、江川紹子(しょうこ)、麻原彰晃(しょうこう)と名前が一致するのは偶然ではないだろう)
ズバリ「勝ち組」。
その後、中島唱子は、山田太一が「(岸辺のアルバムの)中田善子さんは橋田さんに取られてしまった」とこぼしたのと同じように、渡鬼ファミリーの一員となり、役者としても勝ち組に。
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同時代の石原真理(子)、国生さゆりらスキャンダラスな面々と比べても、今現在の時代の気風と照らし合わせると、より際立ってみえる。
ここで思い返すのは、「ふぞろいの林檎たち」(83)第一話。ワンゲル「オリーブ」に現れ、歓迎されなかった地味子、中島唱子の姿である。