偏見おじさんの 知的な痴的な偏見エッセー

@偏見おじさん said「偏見」という言葉に対する偏見を一旦忘れて。 偏見=物事のひとつの見方という立場から始めないと、何も始まらない。

第344回 キミはタクゲロをしたことがあるか!? 論〜山田太一「想い出づくり。」

おれは何度もタクシーで吐いたことがある。もちろん車内ではしない。それぐらいのマナーはある。その時になったら、路肩に寄せて半ドアでストリートに失敬するのだ。ドライビングと放出のコンビネーション、リズム感がポイント。
まだタクシーでたばこが吸えた時代。

ということを思い出したのは、

少し前、タクシーの同乗者が半ドアでゲロったのをみたからだ。懐かしいような気持ちになり、介抱したその女はなんと復活し、朝まで飲み続けたのだった。

ということを思い出したのは、

「想い出づくり」(1981)
森昌子、田中裕子、古手川祐子柴田恭兵の冒頭、古手川祐子がタクゲロしたから。半ドアせず、窓を開けての上品な吐きっぷりであった。

介抱、してあげたい。

山田太一ドラマは、こんなどうしようもない些末な「ありのまま」を描く。

脚本の山田太一は言った。
「かつての(映画全盛期の)構図(=ヒーロー、悪役、その他大勢)じゃない世界を描きたかった。だから群像劇に向かったのだと思う。」
スターありきではない、端役の人生。
同時に、古手川祐子の父(児玉清)にこんなセリフがある。「なんだかんだ上京したがるのは昔の話だ!今は地元を活性化する時代だ」。(すいません。おれはその15年後に上京しました。。)

とはいえ、森昌子、田中裕子、古手川祐子、3人娘のキャピキャピがたまらない。
笑える方のガールズトークは、「ふぞろいの林檎たち」(1983)の童貞3人の前身にみえる。

想い出づくり DVD-BOX 全14話収録

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