偏見おじさんの 知的な痴的な偏見エッセー

@偏見おじさん said「偏見」という言葉に対する偏見を一旦忘れて。 偏見=物事のひとつの見方という立場から始めないと、何も始まらない。

第375回 狼 論〜宮下あきら「世紀末博狼伝サガ」

デコトラ「一匹狼軍団」でも一世風靡セピア「群狼」でもなく、ほんとうの狼というのは、
20世紀最後のピカレスクロマン・ギャグ・痛快・娯楽・エロまんが
JCデラックス「世紀末博狼伝サガ」(宮下あきら/1995〜98)の サガ だろう。

とにかく作者の虎丸の如きトボけた顔写真をカラーで、無責任な雑感・若者たちへのメッセージがコミックスのカバーに載っており、巻毎に楽しめるのはJCならでは。文庫化されたらあり得ない。

賽を振れ!

賽を振れ!

ちなみに氏の「魁!!男塾」のアニメーションOPテーマは一世風靡セピアのアルバム「Shibuya」収録曲「汚れちまった悲しみに‥」であり、その次に収録されているのが「群狼」というのは偶然ではないはずだ。狼は呼び寄せるパワーがある。

魁!!男塾(根性)
天より高く(勃起力)
世紀末博狼伝サガ(勝負力)

カジノ利権の正体 (別冊宝島 2261)

カジノ利権の正体 (別冊宝島 2261)


さて、拠るところのない一匹狼、サガ。麻雀、手本引き、チンチロリン、パチンコ、賭けゴルフ、スタッドポーカー、ルーレット、競馬、カブ、舞台もマカオ〜ラスベガスとおおよその賭け事のオリンピックを制してしまう。終いには作者自身が作中に登場する。端役として。分相応をわきまえつつそれでも、狼=漢を描き続ける。涙とギャグに包んで。
もう、宮下あきら自身が狼だと思わざるを得ない。

都のカジノ構想を予見した、早過ぎる娯楽まんが。
2020年が楽しみだ。