第375回 狼 論〜宮下あきら「世紀末博狼伝サガ」
デコトラ「一匹狼軍団」でも一世風靡セピア「群狼」でもなく、ほんとうの狼というのは、
20世紀最後のピカレスクロマン・ギャグ・痛快・娯楽・エロまんが
JCデラックス「世紀末博狼伝サガ」(宮下あきら/1995〜98)の サガ だろう。
世紀末博狼伝サガ 巻1 香港の裏雀士 (ジャンプコミックスデラックス)
- 作者: 宮下あきら
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1996/01
- メディア: コミック
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とにかく作者の虎丸の如きトボけた顔写真をカラーで、無責任な雑感・若者たちへのメッセージがコミックスのカバーに載っており、巻毎に楽しめるのはJCならでは。文庫化されたらあり得ない。
ちなみに氏の「魁!!男塾」のアニメーションOPテーマは一世風靡セピアのアルバム「Shibuya」収録曲「汚れちまった悲しみに‥」であり、その次に収録されているのが「群狼」というのは偶然ではないはずだ。狼は呼び寄せるパワーがある。
魁!!男塾(根性)
天より高く(勃起力)
世紀末博狼伝サガ(勝負力)
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2014/11/14
- メディア: 大型本
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さて、拠るところのない一匹狼、サガ。麻雀、手本引き、チンチロリン、パチンコ、賭けゴルフ、スタッドポーカー、ルーレット、競馬、カブ、舞台もマカオ〜ラスベガスとおおよその賭け事のオリンピックを制してしまう。終いには作者自身が作中に登場する。端役として。分相応をわきまえつつそれでも、狼=漢を描き続ける。涙とギャグに包んで。
もう、宮下あきら自身が狼だと思わざるを得ない。
都のカジノ構想を予見した、早過ぎる娯楽まんが。
2020年が楽しみだ。