第360回 サイン 論(1)〜思い出せない 初めてのサインは アイドル
サインとは何か。
有名人が色紙に描くサイン。
サインと握手はつきもの。
握手で微かに伝わる「気」のようなものを紙と油で形にする。また、その数十秒の時間。
中学生のおれは地図帳の中国地方で首をかしげた。山陽地方と山陰地方。このネーミングはデリカシーなさすぎなのではないか。地理学という学問による竹を割ったようなディレクトリに。科学というものはどうやら怪しい。
と、これは サンイン の話。
- 作者: 帝国書院編集部
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Signーーー
かつて土田晃之はボキャブラバブル時代サイン攻めに嫌気がさしペレやゾノ(前園真聖)のサインの模写を描いていたと「ニッポン放送 土田晃之 日曜日のへそ」で回想していた。
ちょうどその頃1992年あたりおれは初めてサインを求めた。
地方の郊外のバイパス沿いのスクラム(今で言うラウンドワン風複合施設)暇を持て余していたおれと友人は牧瀬里穂の顔写真が埋め込まれた17アイスの自販機でチョコミントを食いたばこを吸いCDショップやゲーセン本屋ボウリング場を冷やかす若年性うつから抜け出せずにまどろんでいると場内にアナウンスが流れた。アイドルのステージがあるという。曇り空の昼下がりの煮え切らない陽射しをなすがままに浴びたヒビだらけの駐車場に設営された舞台でシルバーの衣装をまとった5人のアイドルグループが一生懸命に踊り歌った。当時のMAXの二の線的なペラペラなダンスナンバーだったと思う。グループ名を忘れてしまったのが今となっては大変悔やまれる。客は20人ほどでスタッフもヤケになったのか本当はCD購入者のみのチェキ撮影会に参加することができた。これが本当のプロモーションだ。
リーダーの女の子のみ可愛く思わず反射的に言ってしまった。
「サインください」
リーダー以外はブス。ブスでもアイドルになれるのか。世の中複雑だ。舞台がバラされ日が暮れるサーカス団は次の目的地をめざした。
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