第257回 SHORT2 論〜修学旅行大爆発
☑ 偏見小学校卒業式
日の丸 ー
シュプレヒコール -
(ソロ)とっても楽しかった
(全員)修学旅行
偏見ぼうやはひとりフラッシュバックに襲われていた。
☑ 偏見小学校修学旅行
ぼうやはその日を指折り数え、誰よりも楽しみにしていた。なぜなら、バスの席が大穂さんの後ろになったからだ。大穂さんは色白で茶色がかった髪、セーラーズを軸に置いたおしゃれなコーディネート、分け隔てなくクラスメートと接する優しさがあり、そして何より美貌の持ち主、つまりマドンナだった。
ぼうやは、自分の幸運に身が震えた。
さて当日、東京の名所を巡るバスが二重橋に差し掛かった時、突然日本兵の如き男が車内に踊り込んできたのだった。
「陛下にお話がある。孫の魂について御礼をいうのだ」
腰にダイナマイトを巻き付け狙撃銃を抱えたその老兵は寝ていた城戸先生を殴りつけ運転手に銃剣を突き付けた。バスは警備を突破し桜田門にすべりこむ。サイレン。あっという間に機動隊に包囲され、その周りの野次馬が行方を見守る。
膠着状態が続き、夜になった。
この時の若い緊張の汗と絶望の空気を凝縮して稀釈すれば一端の香水になるだろう。
めそめそ泣く女子の手をつないで慰める女子、虚脱した目の男子と、生徒はの疲労は限界に。
ぼうやが尿意のためおちんちんがぱんぱんに膨らみ足踏みをし始めたとき、老兵が手榴弾を放った。
ドーーーン!!!
悲鳴の後、静寂が支配する車内。
ふと前の席から
「イヤー‥ー‥」と、微かにしかしよく通る悲鳴が漏れた。
ツーっと、大穂さんのおしっこが、僕の足元に流れてきた。
旅館の朝食、あら汁の味噌汁の匂いをその泉に嗅ぎあてたぼうやは頭が真っ白半ズボンの中で爆発した。
☑ その後
幸いにも、山下満州男警部の好プレーで老兵は射殺された。
以降、この話題は当然禁句に。卒業式のテンプレートで触れるまでは。
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