第352回 記憶喪失=キャンプ 論〜山田太一 BREAKING BAD
「キャンプ」という魔法の言葉がある。
子供の頃のキャンプではよく「キャンプ キャンプ」と言っていた。言えば言うほどヤケクソに楽しいからだ。
なぜなら、キャンプ中は、料理をこぼしても、台風に襲われても、うんこを漏らしても、何が起こったって「キャンプ キャンプ」と水に流す。キャンプだからしょうがない。
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さて、
「丘の上の向日葵」
「ブレキング バッド」
ともに一家の主が横道に逸れ、丘の上の〜小林薫は三日三晩ホテルで島田陽子と不貞に明け暮れ、ブレキング〜ウォルター ホワイト先生はギャングの元締に拉致られ殺されそうになったので殺してしまう。
ともに、足に障害のある息子を持つ。
ともに、その空白の何日間を「記憶喪失」で乗り切る。病院の精密検査でも異常なし。本人が言うんだからしょうがない。
「記憶喪失」ギャグ。最後の砦を使わざるを得ない追い込まれ感。悲喜劇の極み。
もちろん家族は「感じている」。
妻(スカイラー・竹下景子)は「本当のこと」を知りたい。不安だ。しかしひとりの人間についてすべて隈なく明るみに出すというのはどうだろう。どうしたってグレーなところがある。その部分を「記憶喪失」というギャグで描く。
小林薫の悪友、大地康雄は土下座が十八番。飲む打つ買うセクハラ上等うら若いOLを孕ませる薄毛のC調野郎である。
小林薫が記憶喪失ということで家族から手厚くケアされ自宅の和室に横になっている。突然現れたオットピン野郎、大地康雄が言う。
「誰だって記憶喪失になるのさ。今まで何人も見てきたよ」
小林薫は、いつものあいまいな、虚ろな目をしていた。
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