偏見おじさんの 知的な痴的な偏見エッセー

@偏見おじさん said「偏見」という言葉に対する偏見を一旦忘れて。 偏見=物事のひとつの見方という立場から始めないと、何も始まらない。

第338回 説明がつかないこと 論〜代理出産から山田太一まで

代理母

代理母

1.タイ代理出産
が、多産型過ぎるゆえに、何を考えているのかよくわからない。しかし、わからないからといって、関係ない連中が一言正論を述べたがる。
本人が「動機」を述べたとしても、「型」通りに述べさせられたとしても、その言葉は本人にとって中身を伴わない上滑りのものかもしれないし、聞く方も自分たち側の当てはめたい型にはまっているか、判断しかねる。
要は、本人にしかわからない。

ガープの世界 [DVD]

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2.アーヴィング
の、「ガープの世界」の主人公T.S.ガープの母親は野戦病院の看護婦で、瀕死の空軍パイロットが担ぎ込まれた時にこの人と決め、パイロットにまたがりガープを授かった。「子供がほしかったから」という。

丘の上の向日葵 (新潮文庫)

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3.山田太一
の、「丘の上の向日葵」の女(島田陽子)は、盛り場で居合わせた男(小林薫)に声をかけ、一夜限りの関係を結ぶ。
「あなた、ひどく酔っぱらってたけど、不潔なとこ全然なくて。ああ、この人の子供、産みたいなあって」と、その時にできた子供が高校生になった頃、男に告白する。

女と刀 (講談社文庫)

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4.木下恵介
「女と刀」を脚色した山田太一は、フキ(中原ひとみ)の、「依らない」生涯に強烈なおそれと敬意を覚える。フキは、西南戦争の薩摩側つまり敗者陣営の孫で、地元では村八分。一方、世は文明開化とおめでたい。


世の中には「説明がつかないこと」というものがある。むしろ、説明がつかないことだらけ。大勢の側に立ちそれを非難するのは容易い。
安易にムードにもたれかかれない。


山田太一「月日の残像」より)
(完璧な絵画を観て)「‥しばらく見ていると、狙いが明瞭で技術がすばらしく隅々までくっきりと描かれているので、くい込む余地がないことに不満のようなものを感じてしまう。(略)謎がないこと含みがないこと欠点がないこと闇がないこと乱れがないこと古色がないことで、物足りないような気になってしまう」

月日の残像

月日の残像