第328回 NHKにあって民放にないもの 論〜山田太一「タクシーサンバ」
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これは偏見エッセーなので偏見なのだが、
NHKは過去のドラマをパッケージ化している。
民放はパッケージよりCSやオンデマンド重視で出し惜しみしている。
もっといえば、NHKはお役所だの固いだのいわれようが、パッケージ化を折り込んだ契約をしていて契約書を残している。もちろんオンデマンドも推進している。アーカイブという点で図書館的である。例えば山田太一脚本作品でいうと「男たちの旅路」「シャツの店」「タクシーサンバ」‥。
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一方民放は、目先の視聴率が大切であるからして、アーカイブという点でNHKのような体制にない。社会的意義は会社からは求められないし、カタログ活性化もそんなに儲かりそうにもない。そうこうしてると大手事務所からパッケージ化NG。たしかにドラマなんてリアルタイムで観てナンボで、その場限りのものという考えもある。わかるけども、観たいものは観たい。
以上偏見。
当然、いいドラマを作るという熱意とクオリティは両者共通している。
その「あと」の問題。
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さて、「タクシーサンバ」(1982)。
朝田(緒形拳)は元エリート商社マン、現タクシードライバー。デニーロのタクシードライバーとは孤独という点だけ共通していて、孤独だから「なんだか人恋しい」or「世界をぶっ壊す」とはえらい違いだ。
そして、仕事にかまけて妻が被害妄想で病む夫は「ふぞろいの林檎たちII」(1985)の岩田(時任三郎)を思い出さずにはいられない。仕事バリバリの営業マンが今では「写真がうまい人」として認識されているのは不思議な話。
ともかく、その「ステレオタイプにヒステリーな妻」像というのは山田太一にとっていったい何なのか。掘り下げたいところである。
最後にいい言葉メモを。
悪遠慮(わるえんりょ)。
忙しがる。
このところ耳にしない言葉。これがアーカイブということではないだろうか。