第265回 快感フレーズ 論〜「glee」と「アナと雪の女王」と変身願望
箸が転んでも可笑しいというような女子中学生グループの無軌道ハイテンションおしゃべりをぴたっと止ませたのは【アナと雪の女王】主題歌「Let it go〜ありのままで」だった。
イントロからサビまではまるで聴こえていないような素振り。サビの2度目の「ありのままの」の「ままの〜」でまるで魚群が一斉にターンするごとくみんな揃って口ずさんだのだった。そのこと自体面白可笑しくてさらにケラケラ笑う。
おれはツタヤでドリフのDVDを探すもその棚の前を占拠するJCに早くどいてくれと思っていたところだった。
2度目の「ままの〜」が快感フレーズ。
自称音楽通はスルーするかもしれない。老若男女に響く「強い」歌。ツタヤ以来頭にこびりつく。離れない。伝播された。「アナルと鞭の女王」なんてシャレてる場合じゃなかった。
さてこの楽曲、言葉の当て方が変。訳詞の規制が厳しかったのだろうか。そのちぐはぐな日本語詞がいい引っ掛かりに。
英詞バージョンはミュージカルのシンガーが仰々しく歌い上げる。お腹いっぱい。歌い上げる気持ち良さをベタにやるのはgleeのパクリかもしれない。
最後に、
PVは少女の成長、変身が描かれる。しかし飛翔するその姿が凡庸なセレブリティなのはいけない。誰しもセレブになりたいわけじゃない。誰しもプロムクイーンになりたいわけじゃない。
(魔法は消えなければならない)
地味子のママでいるほうが遥かに魅力的なのに。そういうことを「キャリー」を観た後では思うのだった。