第369回 ひろったやまねこ 論(2)〜中島みゆきベスト盤のカセットテープ
家に帰り、ラジカセの取り出しボタンをガッと押しテープをズゴンと入れた。聴きかけだったから巻き戻した。デッキ内でテープが「かんだら」こわいなと思いながら。
テープがかんだ時は悲惨で、取り出そうとしてもテープが、汁を吸いどんどん膨張する麺の如く、手品のリボンの如く溢れてきて、その意外と傷つきやすいテープを元に収めてもノイズが入るだろうと絶望的な気持ちになったものだった。
再生ボタンを モニュ っと押した。最初はヨボヨボながら、ちゃんと再生された。一曲目は「やまねこ」だった。
こわい。聴いたことのない音楽。こわい。でも曲はかっこいいぞ。テンポ、メロディと耳触りはアッパーだ。「魁!!男塾」オープニング一世風靡セピアぽい。流行りのテイスト。しかしどこか後ろ暗い。歌詞は子供にはぼんやりとしかわからない。「‥女衒と女たらし」は「世間の女たらし」に聴こえた。
何回も聴いたので、大人になっても、例えばFMでトークを聴いたり新曲を聴いたり夏休みを思い浮かべたり、ことあるごとにフレーズを思い出した。大人になるごとに
み ゆ き !!!!
後に、ペラっとした硬いサウンド、キーボード多用、無慈悲で正確なBPMは所属のヤマハの楽器をふんだんに取り入れたからかもしれないと思った。
また後に、パティ スミス の ビコーズ オブ ザ ナイト と似てる/似てない の話があったが、そんなことはどうでもよく、人は、特にものを創る人は、他人の想像もつかない考えがあると思うので、オマージュかもしれないしノリでやったのかもしれないと素人が勘ぐるのはゲーセワというもの。
ただ、別の意味のゲーセワなところでいうと、「やまねこ」は沢尻エリカの記者会見の映像にかぶせたらハマりそうだ。同じく沢尻エリカ主演「悪女について」で使われるのも悪くない。
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ひろったテープは「Singles」だろうか。テープのみの作品だったかもしれない。
ほかに、「横恋慕」「悪女」」あたいの夏休み」「ひとり上手」あたりを繰り返し聴いた。