第351回 フォー 論〜いまよみがえる帝国主義
ミャンマーの旅番組で「若者に大人気のおしゃれレストラン」が紹介されていた。
ぷるっとしたフォーに熱々の汁を注ぎ、香草を乗せる。澄んだ汁は鶏ガラベースに少し魚の出汁のワイルドさをプラス。水でよく引き締まったフォーはキラキラ輝いている。香草の緑と鷹の爪でキリッとした彩りを。
これはおいしそう!
例えば「吉田類の酒場放浪記」のシメのような、さっぱりした一品。
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ところが。ところがところが!何があったのかはわからないが、ディレクターが「獲れ高がアレだから〜もうちょっと刺激入れちゃって〜」とディレクションしたのかわからないが、なんとその処女の如きフォーの上に、コックが「熱々麻婆をたっぷり」かけたのだ!
や!やめろーーーー!!!!
との叫びも虚しく、器がドロドロの真っ赤に汚染された。。台無しだ。。
もちろん麻婆もカレーも好きで、それはそれでそれが食べたい時に食べる。しかしこのミャンマーフォーに対する行為は、レイプである。かつて帝国主義は例えばAmazonなどの第三国を野蛮と呼んだが、単一な帝国主義的汚染は、それこそ野蛮だ。
- 作者: 木谷勤
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この気持ちを抑えきれなかったおれは、さっぱりフォーを作り、やや野蛮に啜ったのだった。